
スーパーでの買い物で…レジの直前、ポールがラム・ミンスとバーガーバン(バーガー用のパン)を加えた。
「ディナーに、ホームメイド・ラムバーガーを作るからね」
「あん? ディナーに?」
未だに私には、バーガー=晩ご飯というのは抵抗がある。私の口調がとんがっていたらしく、ポールが妥協口調アリアリで
「じゃあ、ランチにでもいいよ」
“ボリュームたっぷりのジューシーなホームメイド・ラムバーガーを作ろう!”と意気込んでいたポールの気持ちがしょんぼりするのが見えたので、私が妥協する番。
「いいよ、ディナーで」
用事を済ませて帰宅し、私はそのまま「七夕祭り」の準備。そこへ、ドーンとバーガーが出てきた。
「え? ディナーにじゃなかった?」
「これはチキン・バーガー」
(おお〜い、昼も夜もバーガーかい?)
パンがご飯で、新鮮野菜も、肉も卵もチーズも入ってるから、おかずとサラダ。バランスもボリュームも、確かにちゃんとの食事に値する……理屈ではそうだ。ナイフとフォークを使わないと食べられないボリュームのバーガーは、確かにおやつではなく “食事” になる。
ニュージーランドでは、レストランでもバーガーはれっきとしたメインメニューに入っている。世界規模フランチャイズのテイクアウェイにありがちなしょぼいバーガーとは品格の違うバーガーが存在する。田舎のタバーン(パブ)などで、ホームメイドの素晴らしく旨いバーガーに出会うこともよくある。
まして、自分チで元シェフのポールがつくる“こだわりバーガー”は、“ご馳走バーガー”というに値する……とは、思う。
「Hiroeが作ったトマト・レリッシュをソースにしたよ」と自慢げ、かつ、自作バーガーに大満足なポールであった。