HOBBIT 第2部 (その1)

 映画「HOBBIT」第2部 "The desolation of Smaug" が先週から上映開始。昨日、3D版を観てきました。

 私にとって、この映画は、たいして長い話ではない原作「ホビット」から3部作にするために、ピーター・ジャクソン監督がどんな膨らませ方をするのかが、一番興味あるところ。アクション部分やCGなどで増大するだけでは、単に間延びすして、話の深みが出て来ない。原作にかなり忠実だった映画「ロード・オブ・ザ・リング」も、「指輪物語」だけでなく「シリマリル・マリン」の断片的なエピソードを織り交ぜていたけど、「HOBBIT」では、さらに「シリマリル・マリン」の世界を加えることになるのでは……? というのが、第1部を観る前からの私の予想だったんです。

 

 第1部に続き、第2部では、「指輪物語」や「ホビット」の原作の謎の部分(作者トールキンが「シリマリル・マリン」の中で描いた世界観や、“それ以前・それ以後”を補って、理解しやすくなるようにと、ずいぶん工夫がみられます。

 「シリマリル・マリン」は、「ホビット」「指輪物語」と違って、一環した物語ではなく、トールキンの世界観を断片的な覚え書きのように書かれていたのもので、作者の生前には完成せず、後からトールキンの子息がエピソードの順序や一貫性などを苦労してまとめたものが出版されたという経過があります。

 それでも、「シリマリル・マリン」を読むと、この世界の全体像がずいぶん理解できます。

 そもそも、サウロンとは何者? 魔法使いとはどういう存在? ガンダルフがこの世界で担っている役割とは? エルフと人間の関係(エルロンドやガラドリエルは、エルフの中でどういう位置にあるのか?) アラゴルンが人間の中で特別の役割を担うのはなぜか? ゴンドールの「白い王の樹」とは、何か? 「ロード・オブ・ザ・リング」の最後に港から船出したエルフたち、ガンダルフ、ビルボとフロドはどこへ行くのか(西の世界とは、どこを意味するのか)? などなど………

 

 話を「HOBBIT」第2部に戻すと、最も重要な挿入は、原作「ホビット」で描かれていない部分=熊男ビヨルンと分かれて森に入る所で一行と別れるガンダルフが、話の最後にまた現れるまで、どこで何をしていたのか。これは、完全に、ピーター・ジャクソンが原作群から理解・想像して、「こういうことだったに違いない」という創作になっています。おそらく、原作者トールキンも、自分の世界観の中ではガンダルフはそのように行動していたのだけど、「ホビット」では、ビルボたちの冒険に焦点を当てるために、ガンダルフのことを詳しく描く必要がなかったということなのでしょう。

 

 エルフ族の描かれ方は、「ホビット」と「指輪物語」ではかなり違いがあります。映画では、その整合性にもずいぶん腐心しています。「ロード・オブ・ザ・リング」でとびきり人気の高かったレゴラスが再度登場して活躍するのも、その現れ(原作「ホビット」には、ビルボ、ガンダルフ、ゴラム以外の共通登場人物は無し)。

 

 「HOBBIT」の主人公はビルボですが、ガンダルフとドワーフ王トーリンも、ほぼ同等の主人公格。原作ではあくまでも脇役で、ドワーフ達はそれほど魅力的にも個性的にも描かれていません。映画では、特にトーリンの「悲運の王」としての苦悩と勇猛さを膨らませてあるのですが、「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンほどのカリスマ性には、やはり届かないようです。

 第2部では、話の後半で、重要な人間族の登場人物が現れます。この人物も、原作で描かれている以上に、人物像に厚みがあり、第3部への展開が楽しみな部分です。