RWC 2011 あれこれ part 3.

トライ・ネーションズとRWCのジンクス

NZ−AU戦(RWCサイトより)
NZ−AU戦(RWCサイトより)

 ワールドカップは4年に1回。それ以外の年、NZのラグビー・シーズンはどうなっているかというと・・・

 

 *2月〜7月 「スーパー・ラグビー」

 NZ、オーストラリア(AU)、南アフリカ(RSA)の3カ国からトップ・プロ各5チームずつ、合計15チームが総当たり戦を展開。世界最強のプロ・チームの座を争います。なぜ、「世界最強」と言えるかというと、南半球3カ国の方が、北半球を代表する「シックスネーションズ」(6カ国リーグ戦)よりレベルが上だからです。

 

 NZのチームは下記の5つ。

 「ブルーズ」オークランド拠点、ノースランド、ノースハーバーを含む

 「チーフス」ハミルトン(ワイカト)拠点、マヌカウ、BOP、タラナキを含む

 「ハリケーンズ」ウェリントン拠点、マナワツ、ホークスベイを含む

 「クルセイダーズ」クライストチャーチ(カンタベリー)拠点、タスマンを含む

 「ハイランダーズ」ダニーデン(オタゴ)拠点、サウスランドを含む

 ここで決勝トーナメントに進むチームが各国代表の主力となるので、「スーパーラグビー」はその年の「トライネーションズ」の行方に大きく影響します。

 

 *6月〜7月 テストマッチ(NZ内で他国代表チームを迎える)

 国代表による国際試合を「テストマッチ」と呼びます。「オールブラックス」(ABs) が登場するのは、このレベル。

 NZのラグビー・テストマッチは、3シーズンに分かれ、1つ目がNZ国内で相手を迎え討つもの(相手はほとんどの場合、北半球の国代表チーム)、2つ目が「トライネーションズ」(NZ、AU、RSAの3カ国総当たりリーグ)、3つ目がオールブラックスの北半球遠征ツアー。

 各国の世界ランキングとは、これらのテストマッチの総合評価なんですね。

 「スーパーラグビー」で活躍した選手が、この時期のABsに選抜されます。ABsが固定メンバーと思っている人も多いんですが、少なくとも年に2回は選抜組み替えがあり、誰が選ばれ、誰が外れるかが、TVニュースになるほど重要なんです。

 

 *7月〜9月 「トライネーションズ」

 前にも述べましたが、南半球3カ国の総力戦。

 ワールドカップを除けば、例年、これが一番重要なラグビー・イベント。KIWI達が最も熱くなるシーズンです。なぜかって、「トライネーションズ」の優勝が、「世界NO.1」の座をも意味するから。

 

 *8月〜10月 「ITMカップ」(NZ国内選手権)

 NZ国内の各エリアのチームが、総当たり戦、ポイント・システムで、決勝トーナメント進出を争い、NZ国内チャンピオンのチームが決まります。

 これが、各地域や都市に一番密着したイベント。オールブラックスに選抜される選手達も地元チームに加わり、将来のオールブラックス候補となる若手の成長・活躍も見られ、実に面白いレベルです。

 

 *11月〜12月 テストマッチ(北半球遠征ツアー)

 「ITMカップ」で活躍した選手がオールブラックスに選抜され、今度は遠征に出向きます。6〜7月のNZ内で迎え討つテストマッチと対をなすイベントです。

 

 こうしてみると、ラグビーの試合のないシーズンって、わずかに12月後半〜1月の2ヶ月間くらい。

 これだけ数あるラグビーのイベントの中で、「トライネーションズ」がいかに重要か、分かってもらえるでしょうか。

 

 その「トライネーションズ」に、いわくつきのジンクスがあるんです。 “ RWCのある年のトライネーションズに優勝した国は、ワールドカップで優勝できない!” 

 多くの年月、トライネーションズで優勝したNZは、ずっとRWCの優勝を逸してきました。前回もしかり。前RWCで優勝したRSAは、それから2年間、まさに世界NO.1の力を持っていました。

 そのピークが過ぎ、代わって、今年にピッタリ照準を合わせて若いチームを育て上げてきたAU「ワラビーズ」。率いるのは、NZ人ロビー・ディーンズ監督。「スーパー・ラグビー」で常勝チーム「クルセイダーズ」の監督を長年努めた名将。NZのABs次期監督候補と言われながら、前回RWC後もNZがグラハム・ヘンリー監督の続行を決めたため、最大のライバル・ワラビーズの監督オファーを引き受けた因縁があります。世代交代が遅れたワラビーズの再生を引き受け、次世代の若い選手達を世界最高レベルに育てあげつつ彼は、ABsの主力となる選手達(多くが「クルセイダーズ」所属)を知り尽くしているだけに、最も怖い存在。

 予想通り、今年の「スーパーラグビー」では、AUの「レッズ」が圧倒的な強さを示し、「トライネーションズ」でも、その再現のような展開。ABsはワラビーズに最終戦でも敗北を喫し、優勝をさらわれました。

 

 でも、その時点で、実はホッとしていた私。なぜって、例のジンクスが……。

 「トライネーションズ」は捨ててもいい。ワールドカップこそ、勝負の場。

 そして、またしても、ジンクスは当たってしまいました!

 

 予選プールでアイルランドにまさかの敗北を喫したワラビーズは、本来なら決勝でNZか南アフリカ(RSA) と当たるはずだったのに、グループ2位となって準々決勝でRSAと対決。このサイドに南半球3カ国が全部集まってしまいました。

 物議をかもしたレフェリーの判断など、いろいろあったけど、ともかくAUがRSAを下し、準決勝でNZとAUの対決。これが事実上の決勝戦。

 結果は、地元優勝をかけたNZの気合い勝ち。

 そうして、決勝で、「因縁のフランスとの対決→優勝」

 

 1コマ1コマが、まるで伏線を張り巡らしたシナリオのように展開した、今回のRWCでした。