RWC 2011 あれこれ part 2.

スタンド・イン・ブラック

 ラグビーの世界では、国旗とは別にナショナルチームのロゴで表記されるのが、気に入っています。特に「日の丸」国旗化の一党単独強行制定という反民主主義の経過がとっくに忘れ去られつつある日本については、個人的には、桜のロゴで示されるラグビーの世界は、心から、くったくなく誇りを持って応援できるから。

 

 NZのナショナル・カラーは黒。

 ラグビーのナショナル・チームのニックネーム=「オールブラックス」(略して”ABs")

 

 NZでは、イギリス連邦・コモンウェルスの一員である「ユニオンジャックに南十字星」の旗(オーストラリア国旗と紛らわしいけど、オーストラリアが6つなのに対し、NZの方が星4つでスッキリしている)と別に、「黒地にシルバーフォーン」の旗があって、こちらの方が何だか無条件にNZっぽくて良い。シルバーフォーンはNZの原生植物、巨大に育つ木性シダの一種、茎と葉の裏側が銀色のものを特にこう呼ぶのです。オールブラックスのジャージの胸にあるシルバーフォーンは、生命力とパワーの象徴でもあります。

 

 いろんな国のカラフルなナショナル・カラーやロゴがある中、一般には「黒」という色がマイナス・イメージや悪役イメージを追わされることが圧倒的に多いのに、この国では、「ブラック」は最高のカラー。

 映画の題名をもじって、オールブラックスのことを「メン・イン・ブラック」と呼んだり、彼らと心を一つにして応援することを「スタンド・イン・ブラック」と表現します。オールブラックス・オフィシャル・ライセンスのグッズにも”Stand in Black"製品があって、そのロゴは、ハカのポーズ。

 

 4年前のRWCでの史上最悪ベスト8止まり、その後の低迷、昨年の北半球ツアーで世界選抜「バーバリアンズ」(主力選手は当時ピークだった南アフリカ勢)にまで負けるという状態で、オールブラックスへの批判が高まった時期がありました。国技のはずのラグビーから国民の心が離れ始め、ラグビーリーグ(ラグビーとは別のスポーツ)やサッカーなどに人気が移っていく傾向もあり、以前ほど「NZ=ラグビーの国」ではなくなりつつありました。

 

 だから、今回のRWCでの闘いぶりで、オールブラックスがNZ国民の心を引きつけ、まさに「スタンド・イン・ブラック」を復活したことが、どんなに大きな意味を持っているか、改めて実感します。

 日本の7割の面積(北海道と本州くらい)に、たった430万人の人口。その全員がラグビー好きな訳ではない。けれども、シルバーフォーンの旗のもと、ブラックを身にまとって、アイデンティティと誇りを共有したのは間違いありません。