RWC 2011 あれこれ part 1.

全てはラグビーのために

 9月9日から約2ヶ月間のRWC(ラグビー・ワールドカップ)が、10月23日のグランド・ファイナル(決勝戦)で幕を閉じました。

 NZオールブラックスが宿敵フランスを8−7の僅差で下して悲願の優勝!

 第1回RWCで優勝して以来、実に24年ぶりの優勝。

 

 毎年、世界ランキング1位の位置にいながら、4年ごとのRWCでは、2回目以降、どうしても優勝に手が届かなかったNZ。特に前回は、準々決勝でフランス相手に敗退という史上最悪の結果だったため、このRWC2011では、地元開催で、なんとしても優勝……これがNZ中の熱望だったのです。この経過を知らないと、今回のKIWI達の歓喜の意味が本当には理解できない。

 長い長いトンネルを抜けて、皆が解放されたような喜び。オールブラックスに託されたNZ中の思いは、単なるスポーツの「優勝」ではなく、まさに国の「希望」でした。勝つだけでは十分ではない、勝利の質も問われるオールブラックスというチーム。彼らは、実に国のヒーローです。

 

 RWCが終了して、NZの優勝の余韻も心地よく噛み締めながら、この「祭り」が投げかけたものを振り返ってみようと思います。

 

 NZではラグビーは「国技」。日本での国技=相撲というような意味ではなく、「国民的スポーツ」という方がわかりやすいかな。子どもたちは小さいうちから、男の子も女の子もラグビーに親しみます。どんな田舎の小さな小学校にも、立派なラグビー・フィールドがあるし、ロトルアだけでも、人口に対して信じられないくらい多くのラグビー・フィールドがあります。

 この頃はサッカーをする子どもたちも増えているけど、ポールが子どもの頃は、サッカーをする男の子は「女々しい」と言われたそうな……。そのポールも、もちろん学生時代はラグビーで、ポジションは7番。

 

 今回のRWCの日程は、10月23日(日)が決勝戦、翌日がレイバー・デイで祝日。優勝に酔いしれて二日酔いでも、翌1日休みなので大丈夫……という設定。しかも、例年より2週間ほどズラして、スクールホリデイ(学校休み)が、ここで終了するように組まれています。ファイナルの日を家族中で楽しめるように、という訳。

 

 今年は、国政を左右する総選挙の年。その投票日が11月20日。RWCが終わるまでは選挙活動どころではない。ワールドカップに限らず、ラグビーの大きな試合がある週末には投票日を入れられない(ほとんど誰もその日に投票に行く気分ではない)ので、試合スケジュールが決まらないと、選挙日程を決められない、NZはそんな国です。

 

 RWCのオールブラックスの戦績が、選挙にも影響する……。国民のモヤモヤ・不満が爆発するか、癒されるか……? 悲惨な敗北の後、政権交代になった過去もあります。

 さて、今回は、物価高騰や年金の将来の暗雲、キーウィー・セーバー(個人年金)への国の補助削減、教育・福祉の後退など、さまざまな生活の困難を抱える中でも、悲願の優勝達成が、国民に幸福感をもたらした事を考えると、現政権の国民党勝利は動かないだろうな〜。

 南島ウェストコーストの炭坑事故、クライストチャーチの大地震、NZ史上最悪の環境汚染事故と言われているタウランガ沖の貨物船座礁によるオイル流出……などなど、景気低迷に輪をかけて莫大な出費となる復興の道のり。

 基本的に福祉軽減方針の国民党は早く退いて欲しいけど、目下の所、リーダーシップの資質としては、現ジョン・キー首相以外、候補は見当たらない。

 

 ラグビーと政治の関係。ラグビーと人々の精神性の関係。ラグビーとKIWI気質の関係。

 4年前のどん底から、苦しんで粘って勝ち取ったRWCチャンピオン。その喜びと希望を心におさめて、さあ、皆でがんばろう! きっと、優勝の熱気が鎮まっていく経過で、それはKIWIたちの「底力」になっていくと思う。そう期待したい。私たち自身も含めて、ね。